去年からちまちまと進めていた DAT サルベージ計画。業務用の CD レコーダを借り、 1996 年から 2000 年にかけて蓄えてきた DAT ライブラリを CD-R に焼き直していくも、作業は遅々として進まず。
「等速」 が求められたこと。これが原因の一つ。 「先々に聴く可能性」 を一切無視した上で、全てのテープライブラリをディスクメディアに移行させることをゴールに設定していたものの、それすなわち 「全てのアルバムを聴かなくてはならない」 という、処理としては非常に重たい行為。
キッチンタイマーやら携帯電話のカウントダウンタイマーを用いて、片やサルベージ、片や別音源のリスニングという作戦を取ってみるも、超弩級のシングルタスク人間のこと。結局これもうまいこといかず。
そして致命的な原因。 iPod 導入。
ディスクメディアから mp3 に変換させたファイルを iTunes で管理、そして iPod に転送。睡眠不足を承知の上で iPod のカバーフローをぐりぐりさせていると、ジョーカーの神様が降ってきてしまった。
「持ち運びたい音楽なんて、こんなもんしかないんか」
ライブラリの全てを持ち運ぶことこそが夢であり、正にその夢を叶えてくれると思っていたはずの道具は、ここにあるライブラリの不自由さを直視させてしまった。
iPod に蓄えられるだろうディスクメディアへの移行作業、 DAT サルベージ。その対象となる作品は、きっともう二度と聞かないだろうもの。そしてライブラリとしてそこにあったとしても、そこにある以上の何者でもないこと。
ランダム再生という偶発性に任せたとしても、そのコンテンツ自身に魅力がなければ、クリック一つでなかったことにされる。ただそれだけの楽曲。
まだサルベージされていない作品をふるいにかける。ドリンク代で手に入るもの、bye。図書館で手に入るもの、bye。心に何も残っていない作品、bye。もう何も訴えかけないだろう作品、bye。
手元に残ったテープ、たったの 5 本。
あらためてこれまでのサルベージ済リストを眺める。そう、DAT がダビングメディアとして活躍していた時期の CD は、もはやゴミ同然の商品と成り下がっているか、その後に吹き荒れた 「ベスト盤ブーム」 の中で網羅されているか。1 〜 2 曲拾えればまだマシ、な作品も多数。
CD ショップで、そしてレンタルショップで 「はて、この作品はいつまで保ってくれるんだろう?」 と思い、レジまでは運ばなくなった作品も増えてきた。それでも音楽は常に自分の周りに用意されている。 iPod も手に入れた。室内のリスニング環境も劇的に良くなった。
大丈夫、音楽は自分の手からは逃げてはいない。変わったものはきっと一つだけ。自分の耳、だ。コンテンツのカラーは明らかに変わってきている。
Bye-DAT。テープを走らせる機会も残りわずか。本体にはまだまだ活躍してもらうことになるけれども、本来の役目はもうそろそろ終わる。ちょうど 10 年。
すごい 10 年だったね。