
吹雪による通行止。そして迂回。度々現れるホワイトアウト。やっとの思いでたどり着いた現場。翌朝、ホテルのカーテンを開けると、そこにはさらに新しい雪が積み重ねられていた。ここは内陸。山奥ならばすぐそこに。
持ち込んだ MP3 プレイヤーの稼働も極端に少なく、ホテルに帰ってはバスに湯を張り、そして気絶するように寝倒れる 2 週間。ある日のチェックインは 26 時。酒の名産地、宵っ張りの店が目立つこの街でも、さすがにフロントは無人。忘れ去られた僕ら。興味を示してくれたのは流しのタクシーだけ。
1 時間前まで延々とにらみ続けていたモニタのプリントスクリーン。脳幹に残り、頭が眠りを受けつけない夜にようやく思い出しては何かを聴く。無理矢理流し込まれる睡眠薬のように音楽が頭を通り抜け、そして眠りを消化しきれずに携帯電話がタイムアップをがなり立てる朝。その繰り返し。
そんな中でも 「恵まれること」 の形にようやく出会えた幸せをかみしめ、副流煙に満たされる車に揺られては毎日同じポイントを往復した。休日も祝日も関係なく。
そして出戻りの真冬から忘れていた春までの流れを窓の外に置き去りにし、 Delete の連続押下で籍も置き去りにする。最後にありがとう。やっと何かがわかってきた。この幸せを基準にするわけにはいかないけれども、欲しかったものの姿は確実に手に入れた。手渡されたのは新たな地図。月が変われば、まずはその解読から。
ref.
alfred and cavity / the band apart (2006)