ひどい 「歳明け」 だった。
タイミングを見計らったかのようにロスタイムは強制的に宣言され、その途端に時間潰しのパスワークにすら加えてもらえなくなった選手は、フィールド上をバカみたいに動き回ることにも疲れ果て、かといってフィールドに寝転がることも許されず、アホのようにぽかんと立ちつくすだけ。
そのくせ、口をあんぐりと開けるでもなく、相も変わらずに歯が顎にめり込んでしまうかのように強く食い縛り体幹は硬直し、冷たい汗で手のひらをじっとりと濡らしている。ユニフォームにこすりつけても絶え間なく湧き続ける汗。やがてユニフォームの色が変わろうとしても、観客席からでは見えやしない。もちろんテレビの向こうに映りもしない。私はそこにはいない。
ちょっと休憩。さすがに休憩。
酒を捨てた。反動でタバコが増えた。一日 10 本で肺が焼けた。様子を見つつ一日 5 本までに制限をかけた。休みを取って、人間らしいサイクルでの生活を心がけた。糸が切れてしまった初日にたまたま流した荒井由実の声が、そこに触れること 3 年目にして解を得たかのように流れ込んできた。慌てて借りそろえた。ひたすら聴いていた。短時間に終える各々の物語を前に、昔のマンガを広げ、突然耳を捉えた歌詞に意識を移しては窓の外を見た。
ベスト盤ばかりを聴いていた。一日に何枚も聴いたアルバムの全てがベストアルバムだったりもした。何かまとまっている物を無意識に選んでいた。その行動を意識した直後に選んだ CD もまたベスト盤だった。ディスクが飲み込まれ最初の音が出てくる瞬間まで、そのことに気づかなかった。
天気に恵まれた。すっかり乾いてしまった小さな花壇に毎朝水をやった。 4 日目には芽が倍に増えていた。その 4 日目には布団を干した。半日ですっかり柔らかくなった。たまっていた宿題も少し片付けた。夕方には自転車を出した。水田を横切り振り返ったそこには巨大な山脈が生まれていた。あるはずもない山脈の正体は、消えかけようとする影を従えて連なる重い雲だった。足を止めてタバコに火をつけた。やがて消えてしまう山脈を前に動揺させられていた。その日 3 本目のタバコだった。
汗をかき続けるなら水を。重くなってしまったならば天日にさらし。意識が意識を引きずらないように。私の全てをそこに注ごうとはせずに。寄り道を許してくれるものがこの部屋の中や周りにあることを忘れずに。
ぼちぼち休憩も終わり。最後に選ぶ音楽は、少し趣を変えようか。それとも家電や暖房のノイズに緩く埋もれ、軽く何か読み流そうか。