☆鈍色の青春 / 野狐禅 (2003) [CCCD]
『ドラえもん』の小咄に、一瞬で世界一周をするという話があった。世界一周という言葉は壮大な回遊すらイメージさせるほどなのに、実際にはドラマティックなことは何一つなく、北極点をぐるぐる回るだけというオチ。
日常というやつはその小咄にも似て、小さな周回を重ねていたらいつの間にか自分のあずかり知らぬ所で、止めることのできない巨大な渦、世界のうねりになってしまったようなものであって。意外性が過ぎて思わず唖然として立ちすくんでしまうような、小さいのか大きいのかすらも判別つかない、「蚤の富士登山」 スケールでの話が押し込まれているかのように。
実際のところ、何かしらの道具に頼らない限り、自分の可動範囲は自分の足によって制限されている。それならばそのちっぽけな足元の記録を克明に記すことが、自分以外の誰かによる嘲笑の対象になろうはずもない。もしこれを笑うのであれば、それがどこかで笑われているということだ。