ファン投票によって選ばれた上位 27 曲プラス 「あなたに逢いたくて 2004」 を含む全 28 曲収録。が、収録曲のほとんどが 80 年代の大ヒット曲。さもありなん。
松田聖子が現役バリバリであることは承知の上で、これらの曲をあえて往年のヒット曲と表現したい。そこにある瑞々しさは、最近ようやく年相応の年輪が表面的に現れ始めた松田聖子が、更に年相応であることを重ねれば重ねるほどに浮き彫りにされていくのではないかと思ってみたり。
どういうことかというと、物まねでデフォルメされることによって顕著になる記号としての聖子節が、実は今改めて聴いてみると、クセだけで全てを押し切ろうとする力業でごまかす、もしくは押しつけるわけではなく、 28 曲ぶっ通しで聴いたとしても刺激の強さに酔ってしまうようなことがない単なる特徴の一つとして全編に渡って貫かれているということ。デビュー後数年の 「ぶりっこアイドル」 の象徴とされた時期の曲ですら、聴き手の勝手な感情移入を容易にさせるほどの朴訥さが勝っているように聞こえてくるほどだ。
その理由をメロディ然としているメロディと、そのメロディと声を生かす 「殺したアレンジ」 に求めるのはまず当然として、実のところは松本隆に代表される、必ずといっていいほどに情景描写を織り交ぜる歌詞にあったんだな。使い勝手のいい、まるでカラオケの背景に出てくるような当たり障りのない街の風景だ。しかも、間違っても、 10 年の流れにすら耐えることのできない日本の街じゃない。
90 年代初頭の自分探し系に端を発し、近年定番となった 「痛みの共有とそこからの解放を歌い説いた歌詞 (を謳い文句にする歌い手)」 が、下手すると脳内物質にまでフォーカスしてしまいかねないクローズアップだとすれば、当たり障りのない恋愛情景に、時折リゾート的要素を加える聖子ちゃんの世界は、汎用世界を基にしたロングショットだったんだろうな。だからどこに松田聖子がいても、さして気にも留めない。
だって、聴いていると共通して空が見えてくるんだもの。そこにあるのが白い砂か、曇りガラスの向こうの風の街かという差だけで。空を見せる歌手というのも大したもんだ。前述のクローズアップ系ソングを聴いていると、空どころか、見えてくるのは地面か過去のトラウマかってくらいだから。聴いていると、そのうちに網膜の中を蟻んこが這いずり回るんじゃないのか?
自傷を癒すための心の彷徨を描いた歌詞と、その世界を盛り上げるために用意された、布を切り裂きつつものっぺりと尖った厚塗りのアレンジは、果たして 20 年後にはどのように映るんだろう。松田聖子を聴いていたら、そんなところまで考えちゃったわけだ。
だって、聖子ちゃんはもう既に 30 年選手に向かって突入しているぜ…。こうなってくると、実年齢を意識しながら見聞きすることは野暮の極みだよな。今でも聖子ちゃんでいられるからこそ、過去に歌った曲だって息の根を止められることなく、今でもフレッシュな夏の扉が見えてくるんだろう。流行歌でありながらも旬のものを歌詞に織り込もうとする和テイストは、きっと今の若手日本人にだって染み通ると思うんだけどな。
((ついでに))
でも、収録されている 90 年代の曲は、どうにもこうにも 「あなたを見ている私から見えているもの」 が世界の中心になってしまって、良くも悪くも凡庸な気がしてならない。 「天国のキッス」 に雲の帆船が登場しないような息苦しさ。
cf.
松田聖子 "Best of Best 27" P:2004 CCCD [LGCD2]
K.Sato様、はじめまして。
Music Review and Opinions の管理人です。
http://mro.xrea.jp/
私たちのサイトは、2004年4月1日にオープンした
松田聖子さんの楽曲に関するレビューサイトです。
現在、楽曲の感想を書いてくれる方を探しています。
もし、よろしかったら遊びに来て、楽曲の感想を書いて
いただけると嬉しいです。
また、私たちのサイトには「ちょっとだけ聖子」という
コーナーがありまして、そこでK.Sato様の2004年05月03日ブログの
「Best of Best 27 / 松田聖子 (2004)」を紹介する
リンクを貼らせていただきたいのですが、いかがでしょうか?
http://mro.xrea.jp/catalog/linklist.php
初めて来て、いろいろとお願いしまして申し訳ありませんが、
なにとぞ、前向きにご検討よろしくお願いいたします。
> MR&O 管理人様
「vox」はリンクに関して何ら制限を設けておりませんので、
どうぞご自由にお使いください。
ありがとうございます。
早速リンクさせていただきました。