人気インストバンドの合同演奏会を見る。 「合同演奏」 というのはカシオペアの向谷実が使っていたネタでありますが。
9月末日、確実に雨に降られるだろうなという空の下、 Dimension 、熱帯 JAZZ 楽団、カシオペア、渡辺香津美という錚々たるメンバーによるライブを見てきました。
インスト (フュージョンという言葉でもいいけど) のライブなので、オーディエンスの年齢層はかなり高めで、 30 代が中心といったところ。ミュージシャンの平均年齢は、 30 代どころの騒ぎじゃないんだけど。
色んな事を考えながら見ておりました。楽器一本で勝負するミュージシャンは、やはり追い込んで行くのがうまいな、と。 「追い込む」 という表現をかみ砕くと 「引きずり込む」 といいますか。
インストなので楽器に関して一通りのテクニックを持っているのはまず当然のことであって、プロならばいかにして聴き手を魅了するか、自分の楽器そして指に、オーディエンスの目と耳と、同時に身体を集中させ、操るかに全てがかかっていると改めて実感した次第。ライブの醍醐味は、手先を見ながら聴けることであって。ああいったレベルになってくると 「技巧」 イコール 「観客のコントロール」 となり、このキャリアがバンド間の差になってくる。音楽的な指向性が違っているのはもちろんのことだけど。ロック&歌物のメロディ寄りの Dimension 、どこを取ってもラテンな JAZZ 楽団、日本的フュージョンの王道で攻めるカシオペア、といったように、実は共通点なし。
もちろん楽器特有の追い込み方もあって、ギターなら両手の距離が短くなればなるほどに客は追い込まれるし、ドラムなら手数と間合いで勝負してくるし、ベースならフレットを追う指のアクションだとも言えるし、キーボードなら鍵盤のいかに右寄りで気持ちよく暴れるかだろうし。そういった見せ場の応酬で攻めまくったカシオペアはちょっとズルいな、などとニヤニヤしながら見ておりましたとさ。なお、ベーシストのくせにアームを操るナルチョ (鳴瀬喜博=カシオペア) は存在自体が反則。
渡辺香津美と野呂一生 (カシオペア) による、ギター共演も面白し。抽象的かつアニメ的な物言いで失礼すると、超能力者 (楽器をあそこまで操れる時点で、ある意味の超能力だと思ってくれ) が水面に浮かびながら、瞬間移動する様子を想像していただきたい。前者は残像を見せながらも、水面には波紋を一切残さない移動をするスムーズなアクションで観客を翻弄し、後者は残像は見せずに、デルタ秒のタイミングで姿をとらえさせつつも、見えるのはそれまで立っていた水面にある輪という、やけにエッジの効いた動きを見せるタイプで。最近のカシオペアは比較的軟弱指向だと思っていたんだけど、なかなかどうして。
ちょっと抽象表現が過ぎるか。
PA、音の良さもインストのライブならでは。 Dimension ではちょっと SAX が埋もれがちな感があったけれども。アホみたいに歪ませて、何を演奏しているのかわからないような音を聴かせるアーティストには、本当に見習ってもらいたい。金を払ってまで騒音を聴きに行ってるんじゃない。 「お前ら、ノリが悪い」 なんてわめいたりぼやいたりするミュージシャンなんて、腐れ死ねと言う感じですか。ちょっと話が横道に逸れておりますが。
ライブのトリは参加メンバー全員による 「ASAYAKE」 。勝田かず樹 (Dimension) による SAX ソロのある 「ASAYAKE」 なんて一体誰が想像できようか。演奏人数は…何人? 20 人は軽くいたんだけど。ドラムが 2 人、ベースが 3 人、ギターは 4 人、キーボード 3 人、パーカッション 3 人、ブラスセクション大量。壮観。