AJICO と書いて不安定と読む。支えを無くし、つかみ所を失った手のように不安定なメロディに UA の声が不安定にハマる。聴いているこっちまで不安定になってくる。どうにも逃げ場を失って不安が増幅される一方かと思いきや、あのベンジーの声が飛び込んでくる。こちらさんも音が定まらないもんだから、やはりどうにもこうにも落ち着かない。バンドはと言えば、あっち向いたりこっち向いたりと、勝手気ままにスピーカーの中でうろうろしている。結局腰が落ち着かないもんだから、聴き手の耳も定まらない。定まらないから、ワンローテーションを終える毎にチューニングを変え、次のステーションを探している気分になる。そうこうしているうちに一日中流れている。一度スイッチを入れてしまえば、寝るまでそのままになっているラジオのように。誰もその部屋にいなくても流れているラジオのように。
誰もいない部屋に流れる音楽は気持ち悪く、足場を失った部屋へと入った時、そこにいるはずの主を探して目が泳いでしまう。もしかしたら後ろにいるのかもしれないという薄気味悪さと、自分一人だけだという安堵と。スイッチは誰が切ってくれるのか。
シングルで聴きこまなくてよかった。こりゃアルバムで聴くもんだ。全曲リピートで、気持ち悪くなるまで、ぐるぐるぐるぐる。血の滴る手のひらで顔を愛撫され、思わずその指に残る血を舐め取ってしまうような妖しさ。むせ返りそうになるまで。えずきそうになるまで。いっそ全身を撫で回して欲しいほど。