2001年12月30日

坂本真綾 / 2001.11.04 東京電機大学本館プレゼンテーションホール (ライブで振り返るよ2001)

秋の週末ライブ 3 連チャン。そのラストがよりによって真綾。で、諸般の事情からこのライブについて語る機会がなかったので、ここで語っておかないと。

これを書いている今、早速、当日のセットリストを元に構成した mp3 ファイルを再生しております。今年僕が見た中では、ギターバンドを除いた中でのベストアクト。というのは、低く見積もっていた期待値に対して、中身が想像以上によかったため。

学園祭というイベントであるということと、生の坂本真綾というものに対して、それほど大きな期待を持ってはいなかったのです。ところがどっこい、実際にはフルセットのバンド編成、かつ PA の良いことといったら。音を見せることを前提に、ライブを組み立ててきたことがよくわかる。なるほど入場時間が大きくおしたわけだ。

1曲目 「マメシバ」 こそ、ウォーミングアップの感は否めなかったけれども、後半になるとしっかりと声が伸び始める。坂本真綾というボーカリストが、一部マニアの手中にだけあるにはしのびないと、心の底から思わせたのは 4 曲目 「紅茶」。アルバム 『Lucy』 に収録されている、打ち込み中心の音源が少ない楽曲。それだけにボーカルの真価が問われるわけですが。

やられた。声質の良さが、生でも発揮できるだけの実力を持っているとは、本当に、あなどってた。

僕が最後に坂本真綾を見たのは、まだ歌手としてはデビューしたての頃の某イベント。菅野よう子のピアノと溝口肇のチェロをバックに 「約束はいらない」 を披露したもので、お世辞にも、そのボーカルは 「うまい」 と思えるほどではなかった。ところが年月というのは大した物で、このボーカリストが真剣にボーカルという技術に対して向き合い、そして成長してきたことがよく分かる。これまでのライブを一通り見てきた人がうらやましい。


音がぶれようものなら、即台無しになってしまうだろう 「紅茶」 「指輪」 「CALL YOUR NAME」 「afternoon repose」 と 4 曲連続で歌いきられた時には、 「こんなイベントじゃだめだ。歌手としてもっと表に出て来いよ!」 と、苛立ちもありつつも聴き惚れておりましたことですよ。特に、そう、一部ファンの粗相に対する怒りもあってね…。

僕にとって、今年のベストアルバムの一つでもある 『イージーリスニング』 からの楽曲もたっぷりと。 「blind summer fish」 も披露してくれましたことで、いつ死んでもよかった。本当に。

坂本真綾の楽曲にはアップテンポのストックはそれほどでもない。となると、必然的にセットリストにもミディアムテンポの曲が並ぶことになるのだけれども、そこで飽きがやってこない。ライブを見ている最中でも醒める視点を持つことが多くなってきた、このところの自分でも、気がつくとボーカル一本に集中させられていたことは、我ながら大きな驚き。 「birds」 で本編を締め、 「ユッカ」 「風が吹く日」 とアンコールの、全 13 曲。これで 2,300 円。

終演後には言葉もなく、夜、冷え込む中を会場から駅まで結ぶバスに揺られながら、ただただ呆けておりました。

渋谷公会堂クラスの集客力もあるのだから、また、是非、seated のライブで。

それにしても本当に勿体ないなぁ。この良さをわかってもらうためには、比較論から逃れることは出来ないか。宇多田ヒカルのボーカルから 「絞り込み」 を軽くして、芯が通った上での線の細さを残した感。正統派ジャパニーズ女性ボーカリスト。弱さにせよ、強さにせよ、 「行き過ぎ」 感のないバランスの良さは、もっと注目されてもおかしくないはず。

「マニア」 の存在という壁が背後にあるために、ためらって手を伸ばすのを控えている人がまだまだ多いんじゃないだろうか。ここまで来て、あと一つ足りない大事な要素はヒットシングル。楽曲の良さは既に、もう認められるべきところではしっかりと認められているんだから。

セットリスト:
1.マメシバ 『Lucy』収録
2.Active Heart 『ハチポチ』収録
3.Life is good 『Lucy』収録
4.紅茶 『Lucy』収録
5.指輪 シングル曲
6.CALL YOUR NAME 『ハチポチ』収録
7.afternoon repose 『イージーリスニング』収録
8.dreddo 39 『イージーリスニング』収録
9.blind summer fish 『イージーリスニング』収録
10.Gift 『ハチポチ』収録
11.birds 『イージーリスニング』収録
12.ユッカ 『DIVE』収録
13.風が吹く日 『グレープフルーツ』収録

サンクス:
この日のチケット入手に関しては、Sさん、Cさん、Fさん、そしてお仲間のみなさん、本当にお世話になりました。