2002年02月04日

VINTAGE S / 林原めぐみ (2000)

20020204-amazon-hayashibaramegumi-vintages.jpg

そういや、アニメソングに言及したことが過去に何回かあったんだけれども、林原めぐみをつるし上げたことが一度もなかったのはなぜなんだろう。

ということで、林原めぐみのベストアルバム 『VINTAGE S』 を唐突に聴きだしております。

彼女のアルバムは過去に何枚か聴いたことがあったんだけれども、ある意味オールドファッションなアイドルのパターンを地で行ってる印象だったので、このベストアルバムはなかなかに待ち焦がれていたんだっけな、なんて思ってみたりする。ずばり 「シングル曲以外はどうでもいい」 という印象だったのだね。笑えるくらいにクサくてクドいシングルの作りこそが、僕にとっての林原めぐみなのだわ。後述。

林原めぐみの自分的ツボは、声優であることを武器に、懸命に曲と演出とをシンクロさせようとするいじらしさ。役柄から外れることなく、求められる演技によって声を使い分けること。それって役者としての仕事そのものやねん、と。聴いている自分にしてみれば、これが何とも言い難い、何物にも代えがたい魅力的なこっ恥ずかしさに変換されるんだな。

打ち込み、マイナー熱血系、変にギタリストっぽいギターソロ、バックがオフになってサビ、さらに盛り上がってサビ。パターン化されたアレンジ。たまらない。ハァハァ言っちゃうよ。音楽そのものにおいて匿名性抜群なミュージシャンの上に、ちょこんと林原めぐみが主人公として座している構図。なかなかに直視することが厳しい主人公なんだけれども、それが存在しないと始まらないとでもいうか。これって、自分が勝手に思い込んでいる B 級アイドルの理想像っぽくて、それがまたいいんだな。主人公を頂点としたヒエラルキーじゃなくって、主人公を囲んで周囲の目から覆い隠すファンのガードに守られている、というのかなぁ。

あと歌詞の世界観ね。アニメの主題歌が集められているせいか、これまた非常に分かりやすい自省自己啓発系が多くてたまらんのよね。

傷つきつつ、振り返りつつも、前へ、明日へ、自分を信じて!

ぶわっはっはっは。こういう安っぽい 「勇気づけ」 に失笑が止まらないという行為の上に成り立つ自分にとっての 「癒し」 って一体何よ、なんて思い出すと、本当にやめられない。

車の中やヘッドホンステレオといった、周りに人間がいくらでも存在する状況で林原めぐみを聴くってのは、もしかしたら裸にコートを羽織って街に出かけるくらいの恥ずかしさを気軽かつ合法的に味わうことの代替行為なのかな、などとも思ってみる。ああいう人って、いけないことだとわかっていながらも止められないんだろうな。

林原めぐみを聴くことが悪いことだとは言わないけれども、この 「マイナーチューン空回り熱血系」 ってのは独自の世界だと思うのだよね。林原めぐみの曲が流れてきたら、誰も自分のことなんて気にしていないのに、妙に周りの視線を意識しちゃってキョロキョロしちゃうんだろうな。 「お、俺だけの秘密をなんでお前が知ってるんだ!」 みたいな。

「『傷つきつつ、振り返りつつも、前へ、明日へ、自分を信じて!』 なんて思っちゃいないぞ!全然そんなこと思っていないぞ!」 ってな感じの被害妄想に襲われる自分がちょっとかわいかったりするんじゃない? ね? 違う? どの曲を切り取っても、裏切られることのない感じがたまらないんでしょ? ね? 違う?

で、実はまぁ、自分がそれなりにアニメを観ていた時期と、林原めぐみが声優市場において売れまくりだった時期とが重なっていたこともあって、林原めぐみが演じていたキャラクターと曲のイメージとが重なってしまうから余計に恥ずかしいんだろう。

でも、すっかりテレビアニメなんてものから足が遠のいて数年、つい先日オリコンチャートを聴いていたら、唐突に林原めぐみの声が飛び込んできてビビったことがあったな。やっぱ 「歌手」 は 「声」 のキャラ立ちがあってナンボの世界なんだろう。でもって、バックトラックもね、何年たっても変わらないのよ。うん、やっぱこうでなきゃ。 「昔の名前で出ています」 を一生演じてってください。これからも、たまについていきます。

あ、思い出しちゃったんだけどさ、カーステレオで Favorite Blue を聴いていたら、同乗してた友人から 「これって林原に歌わせたらハマらない?」 って指摘されたことがあったっけ。激しく同意するよ、それ。すなわち、逆もまた真なりってことでしょ?

cf.
林原めぐみ "VINTAGE S" P:2000