2002年02月17日

THE BREASTROKE / coaltar of the deepers (1998)

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夜中、行き先も定めることなくセルを回す。左手と頭は連動していない。車の中に逃げ込もうとした、その理由が頭の中で回り続ける。言うならばある種の命令。音が頭の中で鳴り出し、一刻も早くここから立ち去るよう急かし続ける。命令を形にしようと一番手にセットする CD は、一年前からほとんど固定されている。正面にはいつも何かが立ちふさがり、後ろにはいつも同じ何かが、戻ってこようとした自分をあざ笑わんとして待ちかまえている。いてもたってもいられない。横道に逃げるしかない。

状況はこの一年で大して変わり映えもなく、鬱陶しいくらいに同じ音が頭から離れずにいる。何をしていても唐突に浮上しては占有してしまう音。取り憑かれているのだ、などとでも言い出せば、背中につきまとうのは同情の目か憐憫の目か白い目か。他にふさわしい言葉もない。

ほんのりと暖房が淀ませる空気の中で、頭の中にも確実に淀みが生まれ、流れも止まる。時計は自分のあずかり知らぬ所で回り続け、はたと気がつき、逃げ出すかのように這々の体で外の空気を吸おうと窓を開けようものなら、日はとうの昔に沈み、そしてまた頭の中では音が回り出し始める。

時針のリバウンドは、車の中に体を押し込めることでまた同じ結果を導く。反動と反動の間で辛うじて外的正常を保とうとして、そしてまた反動に導かれて、暦はいたずらな浪費に虐げられてしまう。放られた槍のとどまる先が、せめて襟を突き刺して壁とともに縫い閉じてくれるならば、自分は伸縮のスキップに翻弄されることなく、秒針のラウンドタイムに従い動くことも出来るというのに。

ノンストップの高速処理に疲れ果てた脳が、ようやく休息の号令を与える。淀みに覆われてから、活動を休止するまでの 1*1/2*1/2日 は完全に圧縮されてしまったアーカイブ。何一つそこから切り崩すことの出来ないロスタイム。諦めることも、休止させることもオートマティックには運ばないがために強制的に鎮め、日が昇った後に再び呼び起こすことの繰り返し。

cf.
coaltar of the deepers "THE BREASTROKE" P:1998