2002年07月28日

吉田兄弟 / 2002.07.19 千葉県文化会館

吉田兄弟ライブツアー "SOUL"

7月19日、千葉県文化会館で開かれた吉田兄弟のライブに足を運んだ。 5月のオーチャードホールが仕事の都合でポシャったので、これに行ってきた家族に散々自慢された後に、一人トボトボと千葉の奥方へと。座席は 1階席壁際、やや後ろよりというイマイチなポジション。ステージに座る吉田兄弟のばちさばきは、どうにか肉眼でとらえられる距離。

去年、松戸市 「森のホール21」 で彼らを見た時は2階の張り出し席で、背中に壁を背負うという最悪のポジショニングから反響音に悩まされたものの、千葉県文化会館はどうもリフレクションが柔らかいようで助かった。

アルバム 『Soulful』 で目立ったギターレスのバンド編成を中心に、尺八に和太鼓といった邦楽器をフィーチャー。曲のイメージに合わせた照明効果も目を楽しませる。バックバンドとの PA のバランスも良好で、お互いが騒がしく聞こえることもない。良心的な PA 。

演奏はというと、ツアーを経ることで曲が十分にこなれてきたのだろうか、演奏者の余裕がフロアに伝わってくることもあり、安心して曲にのめり込める雰囲気。ロック的リフをモチーフにオリジナル曲を叩き上げる健一と、和の奥行きと波の高さで観客を引き込む良一郎。そのカラーの違いは、テレビや舞台を通して見れば見るほどに大きくなっている。

演奏全体を通した個人的な軍配は良一郎。起承転結ありのストーリー性あふれるオリジナル曲を書ける実力が、演奏にも現れていた。一曲を作るのにたっぷりと時間をかけるという真面目な仕事ぶりが、演奏での深みにつながったというイメージを受けた。もちろん健一の瞬発力あふれる演奏は、ここ数年来津軽三味線が注目を浴びている理由でもある今的なインパクトを伝えるには十分。一つの舞台で両方楽しむことができるコストパフォーマンスの高さも、吉田兄弟のライブの魅力。長尺な 「津軽じょんがら節」 の掛け合い演奏も、終わりが近づくにつれて時間制限というものの無粋さに悔しさを感じるほど。

リズムトラックがやや浮き気味に聞こえることを除けば、何を不満に思うでもなく純粋に各楽器の面白みを味わうことができたライブ。メンバーが引いた後には、 PA を通さない本物の生演奏による 「モダン」 。観客からのリクエストが多かったというこの試みに大喜び。 90 分間の PA に慣れた耳には音圧に欠けることから少しばかりの心許なさがあったものの、すぐに観客の集中が舞台上へと収束されていく様子が感じられた。そうなってしまえば演奏者の勝ちで、すぐに弦の満ち引きが耳を魅了。なるほど家のスピーカから聞こえてくる 「思ったよりも線の細い楽器」 としての津軽三味線は、決してアンプが間違った解釈をしていたのではなく、単に自分の耳の経験値不足からくる誤解だったのだと痛感。

ライブは観客の質によっても成功の度合いを変える。去年 「森のホール21」 で見た時には、心ない中年女性のいつまでも止まないおしゃべりによってこの上ない不快感を覚えたものの、今回は演奏中にコメントをはさむ観客も少なく快適。ああいったライブに足を運んでみると、マナーが悪いのはえてして 40 代以上とおぼしきオジサマオバサマ方。曲の合間にいちいちロビーに出るとかね。そんなあなたは、テレビと座椅子としたり顔のなんちゃってお茶の間コメンテータを気取っている方がお似合いです、などと思ってみたり。次回足を運ぶ時は、こんなマナーレスの人間らしき生命体が絶滅していることを期待して。