それがタイミングというものらしく、今年はクラシックの様式がすんなりと自分の中に入ってくるようになった。まだまだ数えるほどの作品しか耳にしていないが、ソリストによる演奏に抵抗がないと知ったのは意外な収穫だった。もっとにぎやかな演奏の方が、自分には合っているものだと思いこんでいた。
アンサンブルから交響曲と、複数人ないし集団によって作り上げられる演奏は、時に耳に忙しさを強いることがあるのに対して、ソリストのそれは、音へと求められる想像力が最低限のもので済む。それは聴き手である自分が楽譜を読み取っているようでもあり、奏者の表情を勝手に想像して楽しむようでもある。そして何よりも、奏者と譜面とのタイマン勝負である、その集中力に強く魅せられてしまう。
集中力。一点を見つめようとする場合、そこへと向かって周囲が絞られていく、すなわち点は全ての集合になるケースと、一点を見つめることによって周囲が消失する、過剰分が削ぎ落とされることによって集中につながるケースとがある。聴き手である自分は、そのどちらを選択して聴いたとしても、最終的には弦と弓とが触れるその接面と腕へと視点が引き絞られていくのを感じる。それが名演と呼ばれる所以なのだろうか。
世間の名演と自分基準の名演は、なにも一致する必要はない。ここにいる自分が、聴きながらにして独特の集中力を求められる、もしくはそれを喚起される演奏が、自分にとっての名演になればいいのだと思っている。バッハにある曼荼羅のようでもありレース編みのようでもある構造的美は、自分の好みに外れるはずがない。それをシンプルに端的に教えてくれるカザルスの演奏に巡り会えたことは、この上なく喜ばしいものだと感謝の念すら覚えるほどだ。
cf.
J.S.BACH : CELLO SUITES (UNACCOMPANIED) / PABLO CASALS
(J.S.バッハ : 無伴奏チェロ組曲 (全曲) / カザルス)
はじめまして。キワモノに近い無伴奏チェロ組曲のCDを探していますが、お心当たりはございませんでしょうか?髪の毛ほどの情報でもかまいません。ご連絡お待ちしております。
Posted by: jazz0417 at 2006年03月15日 00:10jazz0417さん
すいません。この「vox」をしばらくのあいだ放置していたら、
こういうコメントが入っていたことに気づきませんでした。
申し訳ありませんが、クラシックは全くもって初心者なので、
心当たりがありません。やっぱりこういうときの強い味方は、
グーグル君じゃないかと…。