2003年12月26日

green on red / bloodthirsty butchers (2003)

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揺るがずのサンカクが新生シカクになったことを記念するかのようにリリースされた、 bloodthirsty butchers (以下 「ブッチャーズ」 ) 初のライブレコーディングアルバム。

ブッチャーズのライブでは、 CD 上で表現されている密度の高いギターを再現することはできない。その代わり、音圧とステージから押し出されてくる何かしらの波を受け、そこに酔いしれる楽しみがある。その波は暴力的に激しくうねることもなく、カナシミという主観に溺れる隙間もない。ただ、とにかく音に征圧される。だからこそ、ライブアルバムはありえないと思い込んでいた。

ライブレビューの常套句に、アンサンブルという便利な言葉がある。仕上げの粗さを認めつつ、それを文字にできない場合の逃げ文句として使われる。それまで自分が見てきたブッチャーズのライブでは、オーディエンスの理解に甘えることで何かを許されている感がどこかにあった。エモーショナルなアンサンブルとでも言えば、相互理解が得られるような錯覚があった。

幸運にも、 田淵ひさ子が加わって初めての渋谷クラブクアトロでのライブを見ることができた 。そこでは、人間としての体温を注ぎ込むかのように、斬り捨て、斬り伏せようとする動きを見ることができた。ギターが新たに加わることで、それまでの音を見つめ直し、自らの緊張感を高め、そして維持することにつながったかのようだった。たった一回のライブで、サンカクが一気にハニカムになったかのような盤石さを見せつけられたようにも思えた。この面子で届けられる音源を、とにかく早く耳にしたい。強くそう願っていた。

そして、その期待を裏切ることなく、ライブレコーディングが届けられた。新譜ではなく、サンカクとして耳に焼き付いていた音を、シカクに切り直す、切り直させる作業から着手した。

ここにある音は、それまで何度か見てきたブッチャーズのライブからすると、格段に真っ当なアンサンブルになっている。メンバーの音が譜面上に起こされているかのように目に浮かび、演奏上の揺らぎは感情であるかのように対流を起こしている。骨格も拭きつけも、同時進行に確実に進捗する様子を耳にすることで、次に着手する建造物への期待も否応なしに高まってくる。

ブッチャーズはライブバンドだと、これで胸を張って初めて口に出すことができる。それくらいに、シカクになったブッチャーズは新しい。そしてこれまでにも増して、一見さんお断りの厳しい壁、ブッチャーズなりのたくましさが補強されたようにも見えてくる。だからこそ、このバンドとの出会いをとにかく嬉しく、誇りに思うのだ。

cf.
bloodthirsty butchers "green on red" P:2003