2003年12月19日

Dark Side of the Moon / PINK FLOYD (1973 / 2003)

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大作という印象は受けない。あっさりと聴け、あっさりと終わる。短い曲も多い。 「プログレ」 という言葉がここに使われることすら疑問に思えてしまう。それでも他とは異なる、今でも異なる何かを一つ挙げるとするならば、それは濃密さか。不快を覚えるか窒息してしまうかという圧力に至る直前の快感を、実像のない写実として、捏造してでも描ききろうとしているように見える。夢で味わうような非連続性が、当然の姿としてそこにある。

「狂気」 という邦題もわからないでもない。が、これはむしろ 「断絶」 だ。音と感覚を直結させることによって、それ以外の周囲を全て断ち切るための恰好の道具だ。独りでひっそりと聴くための音。そうでもなければ、音に身体が捉えられているあられもない姿をさらしてしまうことになる。その意味では、マリオネット気分を味わうためのいい題材にもなる。

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発売から 30 年経った今になってこの作品に触れたことは、物事を下手に大きくとらえずに済むという点で助かったようにも思える。それでも 「古典」 としてしまうには勿体ないほどの音の構成、芳香にくらりとする。そして今のロックに至る沢山のヒントが見えてくる。音楽から孤を探ろうとする今日日の日本のミュージシャンが求めている音、色、空気は、あらかたここに詰まっているんじゃないだろうか。

これまでに聴いていた音のルーツを知ったという点では、ビートルズよりも身近なものとして感じられた。そして、自分自身、シンパによる一人歩きによって 「必須」 と冠される 「ロックの名盤」 に触れずにきたことに妙なコンプレックスを持っていた過去もすっかり忘れ、ほぼこのアルバムと同じだけの年を重ねてきたことにも、不思議な縁と親近感を覚える。このタイミングで巡り会ってくれたことを嬉しく思える一枚になった。

このアルバムを SACD で聴いた際のインプレッションはこちら。

cf.
PINK FLOYD "Dark Side of the Moon" P:1973 / 2003 SACD / CD Hybrid