木下伸市のアルバムを買った。買う気満々で店に入ったのに、いざそれを手に取ってみた瞬間、著しく買う気が失せた。数秒考え込み、そして、どこかの巨大掲示板で見た名言を思い出した。
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俺はCCCDは買わないと決めてるが
それ以上に○○○は買うと決めてる。
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この言葉に背中を押されて買ってきた。
確かに CCCD はキテレツな存在であるけれども、このディスクはそのさらに上を行くキテレツさを演出してくれている。こんなこともあり得るんだと、店頭で呆気にとられて立ちつくした。 SACD と CCCD のハイブリッド。音質的最新鋭と、技術的疑問過多の呉越同舟。
<図:木下伸市 『承』 帯>
右上のログマークが SACD のもの。その下にあるのは、言わずと知れつつある CCCD のロゴ。
発売前に僕が見かけたこのソフトの広告 (「CDジャーナル」誌 2003年 3月号) には、ハイブリッド盤である旨の宣伝はされていたが、 CCCD であるとは一言も書かれていなかった。ご丁寧に、反対側のページには DENON の SACD プレイヤーの宣伝付き。
なるほど。こりゃ確かに、 CD から SACD へと移行させようとするには、強烈な推進力となる存在だ。
ただ、ここには僕の勘違いがいくつか積み重なっている。
下記のサイトに詳しいように、 SACD と CD のハイブリッド盤は、それぞれのデータが別々の層に記録されている。片面二層式の DVD だと思えばわかりやすい。
CD 層が下になる訳だから、エラーを発生させる技術はここに施せばいい。 SACD にとっては、痛くもかゆくもないわけだ。なるほどこれなら、 SACD と CCCD のハイブリッドも可能なわけだ!
ハイブリッドだから CCCD を回避されると思いこんでいた、僕が間違っていた。
木下伸市の音楽ソフトは、以前にも CCCD で発売されていた し、そもそも avex 社のソフトなのだから、 CD-EXTRA になるなどの特例を除いては CCCD が回避されるはずもない。
それにしても解さなくもあり、興味深くもあるのは、 avex 社が SACD に手を出したことにある。 avex 社は 「DVD オーディオプロモーション協議会」 に加盟している一方で、いまだ DVD オーディオのソフトをリリースしていない。それでいて SACD でのソフトをリリースするというのは。
しかも avex io レーベルから、木下伸市で?
「avex = ドキュソ音楽」 と信じ込んだ上で、「アンチ avex」 なんてわけのわからない標榜を掲げて喜んでいる人間にはアンチだったのだけれども、こうなってくると、いやはや、何か確かにきな臭いというかうさんくさいというか、そう思わないことには後味が悪い。アイロニーとサスピションの渦。そして至るは、 「アンチ avex」 への部分的な合意。
もう一つの勘違い。 CCCD は SACD プレイヤーでの再生が保証されていないと思いこんでいた。ところが、上の画像にある 「ご購入の前に必ずお読み下さい」 には、 SACD という文字は一度も出てこない。そりゃそうだ。 SACDとのハイブリッドなのだから。しかし、それは以前に avex 社からリリースされている CCCD も同様。
<図:cutting edge (avex 社) の例>
東芝 EMI も 「SACD …などのコンパチプレーヤー」 とは書いてあるが、 「SACD プレイヤー」 とは書いていない。
<図:東芝 EMIの例>
色眼鏡的な勘違いを取り除いてから、落ち着いて考えないといけない。
さておき。せっかくの DSD レコーディングで記録されたソフトも、 CCCD では興醒めというもの。しかも、例によってオーディオの CDレコーダで再生させると TOC がひどいことになってしまうので、これまで同様、 CD-R にいったんバックアップを取ってから聞くことになる。
買ったはいいけれども、ほとんど聴かれることなくラックの肥やしとなるマスターディスク。そろそろ、この話題に触れるのにも飽きてきた。
ええいあぁ、もう、諦めよう。
CCCD 最大の功績は、勢いやストレス解消で思わず手に取り、うっかりレジに運んでしまったが最後、店を出た途端に後悔するという過ちを未然に防ぐことにある。もしくは、買うか否か、そのボーダーライン上にある音楽ソフトを買わせずに、レンタルにするなり、もっと本命の音楽ソフトを買わせることにある。転落事故や自殺者防止用の技術を施した建物や、駅のホームみたいなもので。
もしくは、ミドル〜シニアエイジ向けの CD が CCCD 化され、彼らが PC で音楽を聴くようになって、そこで問題が多発して社会問題化されるのを待とう。氷川きよしが CCCD になって、氷川きよしが PC の宣伝に登場して、そのマシンがバカ売れするのを待とう。もちろん、コロムビアのロゴを貼り付けた PC だ。
ん? そういえば、 例のキノコのCDが CCCD だったような。 シニアの前にジュニアか。
参考リンク:
SACD http://www.super-audiocd.com/
DVDオーディオ プロモーション協議会 http://www.dvdaudio-net.com/
リンク先 URL は 03.03.03 現在
cf.
木下伸市 "承 SHOW" P:2003 CCCD / SACD Hybrid