2003年12月04日

move super tune / move (2002)

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効用:わかりやすい昂揚感が欲しいときに
副作用:聴き終わる頃の膨満感

ハイエナジーユーロを基調に、 avex テクノ、トランス、かつてのデジロック、ラテンなどなど、おおよそ近年のダンスミュージックの美味しいところ総ざらえなアプローチで、ニッチな存在に価値を見出すファンを虜にしてきた move 。

ベストアルバムをノンストップ構成にするという時点で、意味のない度肝を抜くには十分だったのに、全曲リミックス、ボーカル新録という、さらに意味のない豪華さと手間に、開いた口から喜びがあふれ出してたまらない状態だった。

音数の多さゆえに、 avex ポップスにありがちな 「安直チープ」 からは一線を画していた move なのだけれども、リミックスを通して音をスクエアに整えたことで、原曲のフォーマット、インプレッションを全く (!) 崩すことなく、エッジをより一層効かせてきたところに、希代のトラックメイカー t-kimura の意地と職人気質を見た!

move ファンの多くは車への興味もあると見ていいだろうけれども、このアルバムでは 「外観こそは大した変化がなくとも、中身がわかる人にはわかる、ものすげーマイナーチューンが施されている」 ところに喜びを見出す、マニアな人間の特性を見抜いているともいえる。

ノンストップといっても、アルバム全体としての勢いを崩すような無粋な真似はしていないことにも触れておきたい。アルバム収録の曲はコアなファン向けのプレゼントとして 2-3 分の短尺で収録し、リスナーの誰もが満足するだろう、堪能したいだろうシングル曲は、尺を(ほぼ)変えることなく、十二分に味わえるように作られている。

音楽のスタイルにおいて、他に類似性を求めようがなかった、追随する隙を与えなかった、そんなものは端からありもしないという点でのアンタッチャブルなポジションを築き上げたわけなのだから、今後も 「moveでなきゃこんなことできないよ」 という新しさへとつなげてくれることを期待したい。

(蛇足)
全面的に CCCD に移行した avex 社の中でも、数少ない CCCD 回避のアルバム。それは 「車で聴くリスナーが多く、ディスプレイ的にも楽しんで欲しい」 という理由から、 CD-TEXT を導入したことによる。そういう意味でのファンサービスに踏み切っているということから、音楽性を無視して叫ぶアンチ CCCD 派 (多分に揶揄) にも存在を認識して欲しい一枚でもあったり。

cf.
move "move super tune" P:2002