2003年09月08日

もう二度とあの日には戻らない

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雷一閃、秋一味。青以外に何もない青空が広がる下、不純物のない危うさに誘われて河川敷に出た。その昔そうしていたようにイヤホンを耳にして、そして Polaris を選んだ。お日さまの匂い、ふかふかした草の匂い。そこにあるものがあるがままにしてあることの哀しさを感じながら、川風に吹かれて、足元に集まる鳩を眺めた。

失ってしまったことを哀しいと思うのであれば、哀しさは際限なく続いてしまう。目指すべき北極星を頭上に探すことは難しく、南北を知る手だてを持たない。雲があろうものなら月を頼りにすることもできず、東西へ渡る術を失う。そんな夜空の下で闇雲に車を走らせ、とにかく日が昇ることを見届けないことには不安の正体をつかむことすらできなかった日々が急に現実を食らう。

太陽も月も蔑ろにしての唐突なフラッシュバック。昼間に Polaris を聴いたからといって、夜に Fishmans を聴いてしまったこと故の過ち。不意と隙を好んで巣くう悪趣味な貘を、自分は完全に駆逐できたわけではない。でも、もうあの日には戻らない。繰り出される音の一玉が、為す術もなくポケットへと吸いこまれてしまったあのピンボール台は、もう二度と動くことなく納戸に放り込まれているはずだ。願わくば、まだ目に見えるところに置いてあるそれを、足元まで覆い隠してくれるシーツを見つけ出して、その上に大きなコンパスを描いて方角だけが見えるようにして。

cf.
Polaris "Home" P:2002
Fishmans "宇宙日本世田谷" P:1997