アーチ状のホール、雑多に響くウインドインストゥルメンツ。名前知らずの高校生、サキソホーンに重ねられるアンサンブル。窓の外は風。見えるはずもない風、踊らされる緑が身体を張る表現。窓を開ければ嗅覚にむせかえる緑。肌へ押しつけられる南風は触覚。頭をはさんだ境に混じり合う熱気。天井から振る人工の寒冷前線と、背中から押し寄せる人造の温暖前線と、顔に向かってくる自然の温暖前線。そこに立つ自分では降らせられない雨、離れてしまう予感と会話。みすぼらしく濡れそぼる渋谷。熱意の談話、炎熱の焼肉台、鎮火してしまった熱情。思い知らされていながら笑う、一呼吸ごとの鈍痛。何が原因の痛み。消えていた携帯電話のインジケータ、フルマークになる21時は台風一過。一気に受信されるメール、親指の連打で読み飛ばされるメール。ねぎらいの礼と別れ、出庫待ちのミネラルウォーターと液晶上のノーマーク。神泉町のUターン、流れに乗る都心行きの車。上乗せする 10km/h 、love to sleep 。終わってしまった一日、去ってしまった熱風の塊、追いかけることのできない嵐。
cf.
dip "love to sleep" P:1995