infinite synthesis 2 / fripSide (2014)

-アニメタイアップによるデジタルポップの復権-

アニメソングと打ち込みサウンド、デジタルポップの相性の良さは今に始まったことではなく、古くはTM NETWORKの大ブレイクのきっかけになった『シティーハンター』の「Get Wild」、『ガンダムW』を担当したTWO-MIX、『頭文字D』を全面的にバックアップしたm.o.v.e.という存在を挙げることが出来る。

日本の売れ線デジタルポップは小室哲哉に始まり、TM NETWORKのサポートを務めていた浅倉大介、m.o.v.e.の木村貴史、と90~00年代にはそれなりにその存在価値、需要があったが、気がつくと「古い音楽」としてその地位を失っていた。アニメからは外れるがEvery Little Thingが打ち込みサウンドから撤退して今に至ることが、それを象徴しているとも言えるだろう。

さて、ゲームソング、アニメソングで細々とその脈は受け継がれていたのかもしれないが、少なくとも表舞台に大きく出てくることはなくなっていった。それはアニメの放映自体が深夜帯に集中することによって、閉塞的な一部の熱狂的なアニメファンにのみ受け入れられるという潮流が出来てしまったことにも影響を受けているだろう。

その中で細々とした活動をしていたアーティストの一つがfripSideであり、ブレインである八木沼悟志は上述したアーティストの影響を受けていると公言している。すなわちアニソンを通してデジタルポップの復権を担ったのがfripSideという存在だったと言える。

fripSideはアニメ『とある科学の超電磁砲』の人気の後押しを受けて、2009年その主題歌として採用された「only my railgun」でオリコン初登場3位を記録するという、デジタルポップの復権としては十分な結果を残し、その後、積極的なアニメタイアップをすることで、一定数ではあるが裾野が広がっていたアニメファンからの支持を受けるに至った。

そして何よりもfripSideがデジタルポップの嫡子であることを印象づけたのは、2013年における活動内容であろう。まずはシングル曲「sister’s noise」のオリコン初登場1位獲得において、アニソンデジタルポップここにありと高らかに宣言し、続くシングル「eternal reality」における八木沼悟志念願の小室哲哉との共作、楽曲への参加によって、一時は途絶えていたと思われていたデジタルポップのバトンが八木沼悟志の手に渡ったということを象徴している。

現時点では『とある科学の超電磁砲』シリーズを担当した楽曲が突出して好セールスを上げるという状況ではあるが、これは過去にm.o.v.e.が『頭文字D』のタイアップで一定のセールスを上げていたことを考えると、特に異質なことではない。また、現時点でのシングル最新作「black bullet」は『とある科学の超電磁砲』シリーズの作品ではないのにもかかわらず、オリコン6位にチャートインしていることを考えると、特定アニメのファンからの支持を受けていた立場から、アーティストとしてのfripSideとしての立場を確立しつつあると見て取ることも出来る。

一時は死に体と思われていたデジタルポップが再び息を吹き返す時が来た!と実のところは興奮しながら解説をしたいところなのだが、それをこらえているのが実際のところ。そしてかつてデジタルポップを愛聴していた層の拠り所が再び現われたと扇動することも可能だろう。デジタルポップはJ-POP内の零細企業ではあるが、確実にその需要はあり、またその需要を新たに掘り起こした存在として、fripSide、八木沼悟志の存在は十分に評価したいところである。

四十路の音楽