JVC『HA-FW01』インプレッション

物のついでに入ったヨドバシカメラで何気なく試聴したイヤホンに、「これだ!」と一目惚れしてしまった。それがこのJVC『HA-FW01』。JVCは全く持ってノーマークだったので、運命は意外なところに転がっていると実感。

と言うことで、例によって簡単なインプレッションなぞ。

SONY NW-ZX300にBrise Audio flex 001でバランス接続下での試聴。ボリュームは55~65の間で、楽曲によって調整。

Automatic [2014リマスタ] / 宇多田ヒカル (96/24)
ボトムをがっちりと支える低域の張り出しがまずは印象的。かといって低音過多にはならず、中高域の浮遊系シンセやギターの空間処理が上品に響く。かつ、イヤホンにしては音場が広いので、ヘッドホン的ニュアンスも感じられる。ボーカルは近くに、装飾系の音はやや遠くにと、音の定位が明確。宇多田ヒカル独特のハスキーさもしっかりと表現されていて生々しい。

Don’t Stop ‘Till You Get Enough (Single Version) / Michael Jackson (96/24)
パーカッションの音が各所に散りばめられていることが、手に取るようにわかる定位の素晴らしさ。そのど真ん中をマイケルの声が突き抜ける。ベースラインが非常に明確で、この楽曲のキモを浮き彫りにする。飾りであるはずのストリングスは、ブリリアントに存在を主張する。ホーンも空間を切り裂くかのように鮮明に鳴り響く。この楽曲が閃光のような音の集合体であることが把握できる。

Square One / Coldplay (192/24)
エレキギターのストロークとベースとの組み合わせとで作り出す、非常に骨太な低音が特徴的。それでいて低音に他の音が引きずり込まれることはなく、シンセの和音や、ギターのアルペジオも美しく響き渡る。楽曲の展開によって装飾系の音色が変わりゆく様が明確で、思わず聴き入ってしまう。ボーカルはやはりしっかりと前面に出る。

DEPARTURES (Album Mix) / globe (96/24)
Aメロのアコースティックギターのストロークが明確。そしてキックドラムが入った瞬間から、曲を支配しているのがこのドラムの音であることがよく分かる。それでもボーカルは負けることなく、やはり表にしっかりと浮かび上がる。この曲は実は音数はそれほど多くなく、必要最小限の楽器で構成されてることが今さらながら分かるほどに、全ての楽器を見通すことが出来る。

ring your bell / Kalafina (96/24)
意外や意外。どんな音が鳴り渡るかと思いきや、この音源そのものがハイレゾとしても、音源自体としても凡庸なものであることを明確にしてしまった。なるほど、のっぺりとした録音はのっぺりとしたままに表現する、妙な味付けを施さないイヤホンなのだな。逆説的に好印象。

Smells Like Teen Sprit (2011 Remastered) / Nirvana (96/24)
全てが鮮烈!だからこそ、この曲で表現される静と動との振れ幅が明確になる。グランジロックもこのイヤホンは十二分に楽しませてくれる。誰だ、ウッドがアコースティックにだけ有効だと言ったのは!

MEGALITH / T-SQUARE (DSD64)
全てにおいて切れ味がシャープ。弛みも団子も何一つとしてない。サックスのストレートさが明快。シーケンス音も全体の邪魔をせず、しっかりと曲のアクセントとして存在している。何よりもドラムが非常にクリアに叩き込まれ、楽曲の表現すべき部分を引き出すことに成功している。

なんでもないや (movie ver.) / 上白石萌音 (96/24)
喉を通る空気の音はもちろんのこと、声自体が丸みを帯びて柔らかく耳に入り込む。楽器も全てにおいてマイルド。かといってなまくらであるわけではなく、ふくよかさが浮かび上がる。

走る (Album Ver.) / 坂本真綾 (FLAC)
特筆すべきはストリングス。曲全体で軽快な響きっぷりを聴かせる。音場も広く確保され、イヤホン特有の窮屈さを感じさせないのは見事。全体的にアコースティックな音作りが、しっかりと表現される。曲を支える自在なベースラインの存在感も、ボーカルを邪魔することなく、上手くブレンドされている。

すばらしくて NICE CHOICE [2016 RMST] / Fishmans (FLAC)
イントロのSEからしてこれは鳴るぞと予感させた。リバーブ気味な音の余韻がしっかりと響いては消えるのはお見事。少しボリュームを上げ気味にすることで、この特有なベースの音階が見えてくるのも素晴らしい。低域の量感だけではなく、音もしっかりと表現する力がある証拠。

Burnin’ Up the Carnival / Fried Pride (FLAC)
パーカッションのアクセントが明瞭。ギターのピッキングもスピード感十分に伝えてくれる。ギターソロでは胴鳴りも深く響かせてくれる。弦の存在を位置として捉えさせる解像度の高さも素晴らしい。

総括
得手不得手無く音を鳴らし、かつ、表現力を伴う素晴らしいイヤホン。解像度も十分。オールラウンダーとして活躍してくれることを期待して購入したのだが、その期待に違わない実力を発揮してくれる。

これまで、ダイナミック型イヤホンは低域には強いけれども中高域の煌びやかさがもう少し欲しい、などと思っていたのだが、このイヤホンは全帯域においてバランス良く鳴らしてくれるので満足しております。

これでもうイヤホンスパイラルからは完全に脱却できた…かなぁ。

四十路の音楽