19972016 / BOOM BOOM SATELLITES (2017 ハイレゾ 96/24)

「自分はこのユニットと常に頭の中で喧嘩をしながら聴いていたのだな」

1998年『OUT LOUD』に初めて接した当時、自分はまだ20代半ば。そこで鳴らされていたビートに対して、快楽的かつ楽観的に接していただけだった。深く物を考えることなく、数多ある音楽の一つとして流動的に受け入れていただけだった。

BBSの音楽が進化すると同時に、自分の音楽への審美眼と雑食性というアンビバレンツな要素も増していった。となると、そこで鳴らされている音楽に対し、批判眼という邪念がつきまとうようになり、非常に稚拙で曖昧なYes/Noのジャッジを引くという暴挙に出た。BBSの進化に表面的にはYesと言いながらも、漠然としたNoを出していたのは、自分の頭の中でBBSを理解するためのキャパシティがあまりも狭く、またボキャブラリも極端に少なかったからなのか。

今、川島道行の逝去を受け、改めて56曲に絞られたBBSのベストアルバムに接すると、前述の言い訳はあくまでも言い訳でしかなかったことに気付かされる。快楽的でいいのだ。流動的でいいのだ。エッジ深く刻み込まれるビートと独特のアブストラクト。そして川島道行のエモーショナルかつクリーンなボーカル。耳に入るがままに受け入れ、それを都市の喧噪にも似た音楽として、当たり前のように聴き流せばよいだけの話だった。

YesかNoか。そのようなことはどうでもいい。音楽を構造的に把握する?そんな馬鹿らしい行為は端から投げ捨て、「これがBBSなのだ」と語る、律とした音楽に身を任せていればそれで十分だったのだ。

それに気がついたのは遅かったのか、それともこれが当然の成り行きでもあったのか。

『-20082016-』の頭を飾る「LAY YOUR HANDS ON ME」で高らかに伸びていく川島道行のボーカルと、中野雅之が作る空間とが絡み合って生み出す、BBSだからこそ可能となる世界の表現を受容している自分がいることに気がついた時、ようやく無意味な喧嘩をふっかけることなく、ただあるがままにその快楽性の高い音楽へ耳を傾けるだけでよいと気が付いたのだ。

もうBBSとしての新しい楽曲が世に出ることはない。しかしこれまで蓄えられてきた楽曲を、新しい眼で掘り下げていく時間はたっぷりとある。まずはこのベストアルバムを聴き流せるだけ聴き流し、そしてそこに何かを見つけたら、またそこからBBSをひもとく作業に入っていけばよい。

川島道行の時間は終わってしまった。自分の時間はどうやらまだ続いて行くらしい。手渡された音源を元に、BBSを探求する旅がこれから始まってもよいだろう。


e-onkyo ⇒ 19972016 -19972007 Remastered- (96/24)

e-onkyo ⇒ 19972016 -20082016- (96/24)

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