詠む音楽

globe 10 songs

globe (1999)

1. FREEDOM
残らない足跡。空、海、そして地の路、時の路。欲しがる何かを求めて、移動するトランジット。確かにあったはずの痕跡。在住証明、過去の記録。髪、風に揺れる一瞬の微積分。次の証しを探して、誰かが記録してくれるのを期待して、また次の写真をとらえに。

2. wanna Be A Dreammaker
頭上の半円がいつまでも途切れない。わかっていて入りこんだ道なのに、光の先が見えない苛立ち。疾走。足音いつまでも硬く、追う者もないのに止まらない足、もつれれば倒れるのも楽なのに。気がつくと叫びはじめていた声。ヒールにかき消されるアナログの波。破片の不協。唯一の逃げ場、自分の耳。それでも出口まで、走れ。

3. two keys
割れるなんて思っていなかった。自分を泣かせないように、あの日の笑みを 1 つずつ片付けよう。さかのぼった時間の手帳に封をして、先にあったはずの時間は全て紺で塗りつぶす。黒い文字、予定の記憶だけはかすかに見えるようにして。明日からはそのタイルを順に踏みながら 1 つだけ持って歩こう。

4. a temporary girl
1/2, 1/4, 1/8, 1/16, 1/32。 緩く刻みながら過ごしていた日々も、そろそろ終わりかもしれない。予感も現実も何もあてにならないけれど、これまでの私だけは信じられる。だから今日の傷もきっと信じられるようになる。リズムを決めるのは私。誰かが波立てた水面も、軽く浮きながら、増えてしまった月を見下ろしながら渡って行ける。

5. Feel Like dance
初めてわかったスイッチのありか。ノーヒントで、ただやみくもに切り替えていた ON or OFF 。
左? 右?
そんな迷いは、そう、フリをすることが正しいと思っていただけの理由。目の前の扉を開けることの出来なかった、弱気な勇気。これまでのどんな光でも照らすことの出来なかった main street 。その先にある眼の光も、今なら見える。はずむ胸をおさえながら、それでも隠しきれずに、今、笑みだけを体に抱え、真っ直ぐに向かう。ただ、その瞳だけを見据えて。

6. Perfume of love
床に叩きつけた瓶。君に触れることを、ただひたむきに待っていたはずの中身。悲鳴を上げる香り、涙を流す私。どれだけ顔を作っても、これだけは…できなかった。

7. Anytime smokin' cigarette
脳が冷たく縮むたびに抜け落ちて行く記憶。目に映る、いや、映るまでもなく見えている薄汚れたレース。光と煙に変色した布切れ。塗り重ねられた時の色、それだけで隠されてしまう体。失った指先の熱。熱に侵され、投げ捨てた自分。ただひたすら、靄に踊ろうとする肌を見つめながら、また手を出す。

8. I'm bad
separate
ただの隣同士。壁の向こう。対称に置かれた TV 。鏡、そしてギャグ。蒸しあがった部屋。開け忘れたカーテン。グラスの中身。今日は水。昨日はアルコール。明日は?
体を滑った分だけ、癒されるのを待つ汗。 R もなく、角に切ることしか知らない辺の交点。少しだけ頭が悪くなるディスプレイの顔。映っているのは…笑う。俺の顔じゃないか!
ケタケタと声を上げながら水をかぶる。隣の TV では何をしている。こんな真昼間に。

9. FACES PLACES
戻ってきてもいい? ここへ。何度呑みこまれて、何度取り替えても、また同じ体温が欲しくなる。何年も、何年も見てきた背中なのに、また今日会ったら喉の奥が熱くなった。あなたに見えないように、思いの全てを隠して、そして足を並べる。何があっても私はここに戻ってくる。一人だけ。ただ一人だけ、その横に。

10.Love again
恋は、高く。

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globe 10 songs について
小室哲哉率いるユニット globe の好きな 10 曲を選び、 2000 字程度でライナーを書く企画への応募作品。 "gothic 10" というタイトルで、 99 年の 「Reration」 ツアーパンフレットに採用、掲載された。