詠む音楽

moondance

Van Morrison (1970)

ぬるりと進み行く秒針
そそのかされた夜が吠える
時間をもっとよこせと夜が吠える
どこまでも欲張りな夜
眠りに就こうとする者を敵に回し月に睦まじく
アルコールに溺れる者に安寧を与え
夜は吠える
俺に時間を

人は急ぐ
夜に飲み込まれまいと人は急ぐ
一心不乱に寝床を目指して人は急ぐ
迎えることを義務とする朝に背くことは許されず
夜をないがしろにする
そこに夜は見捨てられ
嗚呼、ただ夜は疲れを癒やすためだけの時間として
見事なまでに使い捨てられる

沈黙に徹する私の夜
夜が足りないと叫びを上げる
ただし言葉においての沈黙
思索に夜を味方につけ
それでいて使い捨ての言葉そして夜

夜の行き先
生き急ぐ夜
死に絶える夜
再び舞い戻る夜
全てをせせら笑う夜

月が生む影はとぼとぼと
大した力も持てずに己を過信し
夜は負け犬の遠吠えただ遙かに響かせ
人々の眠りを誘う

無力を呪えよ夜
自ら影を作り出せずに嘆けよ夜
星の慰め受けて静かに眠れよ夜