詠む音楽

あなたと見た夢 君のいない朝

柴田淳 (2013)

もう何も言葉は浮かばない
残されたインクの続きは誰かが使って
その断面は平に均されることはなく
いびつに書かれた文字の数を表して
心ここにとどまることはなく
それでも繰り返しは知らずにいる
誰かにこれを伝えてしまえば少しは楽になれるだろうか
また新たな何かを背負うことになってしまいやしないだろうか

ノートの切れ端、リングを数えて
書き残してきた言葉はきっと誰かが見つけてしまう
かくれんぼ、しましょう
鬼はあなた、逃げるのは私
捕まえられてしまえば、その全てを吐き出してしまうから
まだ言葉にしなかった数々の遺念は
燃やす時にどうせ灰になってしまうからバレることはない
そう、自分への口封じはいつか間もなく叶えられることとなる
それが今一番叶えたい夢
やがて顔を見られることすら誰にもできなくなる
消してしまうならお願い、早くして
その時にはこのペンを使って誰かがこの戯れ言の続きを書き加えて
そして私を知って
誰も何も書けないだろうからやはり何もなかったのだと思うに至って
そして私を諦めて
私は私を諦めました