詠む音楽

ピアノ

原田郁子 (2004)

思っていたよりも雨は強くなり、気休めに干した洗濯物を濡らしはじめた。部屋に取り込む。

ほぼ一日寝て終わらせた土曜の重さが頭に残る翌日。もし雨がここに少しいじわるをしているというのであれば、降る雨とたくわえられた水はまったく別の生き物か。水なのに。

朝食には遅く、ブランチというには微妙なテーブルを片付けてコーヒーをいれる。すぐに空になってしまったカップ。久しぶりにリーフを取り出す。

大判多色刷りが引き込むあのおしゃれにはほど遠く。それでも金色に熱を逃さないフレーバーティーが、飲む水はまた別のものだと教えてくれる。

窓の外、ユリの木の若芽は雨粒を握っている。

すべては水に操られているような。水に呼ばれているような。