詠む音楽

夏の日の午後

eastern youth (1998)

頼りない夏の木陰にて 擱として閊え じっと命を見詰めています
遙かに育まれ過ぐ緑 少し色を摂り欲張ったようで
慈悲深き光は子らの肌を射抜き
溢れんばかりの汗と目の光の源としています

伝道師として疎まれ 殉教者の夢は取り上げられ
失道の極みに託すすべては妄想
形ばかりの十字すら 背負う赦しを失ったこの胴に
見誤った力で押し倒されかねない鴨脚樹の
枝にしがみつくばかりが全ての葉の根に
開いているだけの口元緩く
羽化の行方を失ってしまった抜け殻として
頼りない刺で地に背をつけることなくいるのみなのです

そして この小さな影を踏み
声を上げる間もなく知らずと駆け行く子の
握る虫かごに見詰めた複眼が
身体を忘れた影のみで飛びたってしまった私の先ではないだろうかと恐れ
全てを愛されながらも蔑ろにすり抜けた命に
ただ嫉妬するのみの自分は いまだ動くこともできずに
影渡りの術を索(さが)すのみなのです