詠む音楽

Sugar High

鬼束ちひろ (2002)

感じているのは体温ではなく
冷たく潤う舌先
滑らかな泉にまかせて
決めかねながら飲み干す
重みに案ずるカプセル
結ばれない

味蕾が獣のシルシを求め
頤へと降り立つ焦り
知っている
途端に口は干され
頭の後ろに押し込めた理が
鍵を壊して躯を縛る

一時を満たす甘露と
涸れ知らずに渇するままの蜜腺
言葉が追い出され
熟れるまでの猶予を見過す
いつまでも熱くならない月花不知の縟に
窒息する前の夢をむさぼり続けた