詠む音楽

曖昧な引力

小林建樹 (1999)

そこには一本道があるだけで
羽をもがれてしまったなんて言うけれど
元々そんなものはついていなかったんだろ?
いくら見上げてみたってそこは戻る場所なんかじゃない
それは百も承知だといっても
百の中に一つでもすき間があるならば
それだけしか見えない時もあったっていいだろ?
百がだめなら千にしてどうにかこうにか
「許すも許さないも手前の勝手じゃないか」
呟いた言葉、命と注げるのなら
とうの昔にやっているさ
「言葉遊びだ」
ただの言い逃れだよ
指をさされたって
最初の言葉こそが本物だって思い込んだ
その第一人者だって
面白すぎるよそんなこと
ただの伝言ゲームじゃないか
瞬間、目を離しただけでこんなに進んでいる
少なくともそれぐらいの次元には生きている
生かされているんだ
芽のうちに摘まれないからこんなに不揃いで
判ると同時につぶし合って
ねぇ、だから
ほんのちょっとくらい逸れてみたっていいじゃないか
少しでいいから、誰かこれを預かってくれよ