詠む音楽

DIVE

坂本真綾 (1998)

わたしの手をにぎってくれるあなたが好き
ぼんやりしているわたしの横で
優しい目をしているあなたが好き
わたしはあなたが好き

あなたは両手を大きく広げ
開けた窓から新しい空気を深く吸い込んだ
わたしはふざけて
胸に手を組んで床に倒れた

見下ろした
あなたの目はなぜか遠かった
知らない海の色に見えた
なぜだろう、全て失った気がした

「こわい」
そう言うとあなたは何も言わずに
消えてしまった

そして二つのマグカップに
暖かいミルクを運んで
一つを床に転がるわたしの横に置いた
窓際で
それを飲むあなたの横顔が好き

カップを手のひらで包み
わたしは目を閉じた
あなたの匂いがしたから
「好き」とつぶやいた

あなたは当然だという顔をして
ミルクを飲み干した
「好き」
もう一度つぶやいてみた