詠む音楽

ココロに花を

エレファントカシマシ (1996)

これだけ汗水たらして走っているってのに 「チンタラやってんじゃねえよ」 なんてヤジを飛ばすか? 上等じゃねぇか。だったら自分で走ってみろってんだ。元の色だって覚えちゃいないこのシャツも見えないのか? 何よりもこんなに熱い体がここにあるってのに、それも見えないってのか? お前の頭、どこかおかしいんじゃないのか? 自分の名前言えるか?

走れば走るほど、顔に浮かぶ判りやすい俺の表情を見て、爽やかな声援で等価交換の評を下し、観客だけが満足しやがる。自分のためだけに必死こいてやってきてるのに、奴らのための 「たゆまぬ努力」 とやらに、頭も使ったことのないような奴らの為に、テレビか何かと勘違いしてるのか、しっかりと目に映るようにやらなきゃならないらしい。手前の熱を奪うだけ奪い尽くしているくせに、それを己が作ったものだとかのたまうような奴の口が動いた瞬間を止めてやれば、余裕綽々の笑みをもらすのはこっちだ。

潔い? 潔さ? そんなものを追い続けているうちにわけわかんなくなったら、一体どうやって穴を埋めたらいいんだ? 42.195 でなんか終わらない沿道で、どこまでも旗を振ってるだけの人型の生き物と共になんかいられるか。そのうち後姿になれば、紙切れ同然の旗を投げ捨てて、帰り着いた先で酒でもかっ食らって横になってんだろ? そうしたら都合のいい健忘症の出番だ。笑顔で罵ってたこともすっかり忘れ、判りきってる行く末目指して、次の日も走っているフリしかできないに決まってるさ。

そこまで言うなら、何か答えてみろだと? よく言うよ。答えられないくせに尻ばっかり叩く癖を覚えて、アホみたいに繰返しているだけのバカはどこのどいつだ? じゃあ、一言だけな。 「果てを見たいから」 だ。お前の顔を見て、晴れやかな気分になって、それで圧倒的に俺の勝ちだ。意味が分からない、だって? 自分で答えてるじゃねえか。そのマヌケ面だ、ボケが。

まさかこんなことまで考えているとは思ってないだろうな。そりゃそうさ。傍らに誰がいようといまいと、飄々として見せながら、真剣の 「し」 の字でとにかく先としか言いようがない所まで走ってかなきゃならないんだよ。俺がだくだくと汗を流しているのも、疲れているのもそのうちに気がつく奴がいるんだろ。その時ゃもうゴールに着いてんだろうな。背中の裏側で舌を出して、幸せに浸ってんだ。マヌケ男の全力疾走。最後の最後まで見れるものなら、見てみやがれ。